マクロン大統領が掲げた外資誘致は成功したのか?
一方で、マクロン大統領が掲げた企業活動の活性化という点に関しては、特にその目玉政策であった外資誘致が成功したことは、統計の動きから明瞭に確認できる(図表2)。
具体的に、フランスの対内直接投資流入額は、オランド前大統領の任期中は平均で名目GDPの1.3%の規模だったが、マクロン大統領の1期目では2.0%に、また2期目では2.1%にそれぞれ拡大している(図表2)。マクロン大統領は国民議会選直前の5月にもベルサイユ宮殿で外資系企業の経営者を招くなど、投資誘致に注力していた。
【図表2 フランスの対内直接投資流入額】
こうした外資系企業による投資は、フランス国民の雇用と所得の増加につながる動きだが、一方でフランスから出て行く民族系企業もある。外資系企業のフランス進出がなければ民族系企業の国外転出で失われる雇用や所得をカバーできないが、民族系企業の国外転出の方が報道されやすく、外資誘致は国民の評価につながりにくい。
それに、これは汎ヨーロッパ的な現象であるが、右派の国民連合の台頭が物語るように、フランス国民は着実に保守化している。一般的に、保守化した国民は外資系企業を嫌う傾向が強い。つまり、マクロン大統領が外資系企業による投資が増えたことをアピールすればするほど、保守化したフランス国民が反発する構図がある。