藤原元子は一条天皇の心をつかめるのか
一条天皇が定子を変わらず思っていたことは、宮中でも話題になっていたらしい。黒木華演じる道長の妻・源倫子が、道長にこう語りかけた。
「義子(よしこ)さまに続いて、この間は元子(もとこ)さまも入内されましたけれど、帝は元子様にも義子様にもお会いにさえならないのですってね」
史実においても、長徳2(996)年、一条天皇のもとには、藤原公季(きんすえ)の娘・藤原義子が入内して女御となり、さらに、右大臣の藤原顕光(あきみつ)の娘である藤原元子も入内し、女御となっていた。
ドラマでは、倫子が夫の道長に「殿が帝と女御様方を結びつけるべく、何か語らいの場を設けられたらよろしいのに」と提案。「万事お任せくださいませ」という倫子によって、親睦会が催されることになる。
とはいえ、女御同士が顔を合わせるのは気まずい。まずは、入内したばかりの元子を呼んで、一条天皇との交流が図られた。
元子の父親である右大臣の藤原顕光は、宮川一朗太が演じている。顕光が機会を設けてくれたことへのお礼を、道長に何度もしつこく伝えていたのが印象的だった。娘が一条天皇の子を宿せば、自身の立場は大きく変わるのだから、必死にもなるのだろう。
会では、一条天皇が吹く笛に合わせて、安田聖愛演じる藤原元子が、得意だという琴の演奏を披露した。しかし、一条天皇は演奏中に定子を思い出し、途中で止めてしまう。心が動く様子は少しも見られなかった。
実際の一条天皇は、新たに入内した2人とどんな関係だったのか。藤原義子については、子を宿していないので、一条天皇の寵愛を受けることはなかったようだが、藤原元子については懐妊しているため、一条天皇の寵愛を受けたのではないかとされている。
だが、元子の懐妊について『栄花物語』で「水を生む」と表現されており、流産したとも想像妊娠の類いだったとも言われている。ドラマではどのような展開になるのだろうか。
さらにこの2人が入内した2年後には、藤原道兼の娘・藤原尊子が入内することになる。一条天皇とどんな関係性を築くのか、注目したい。