1930年代のファシズムとの違い
もちろん、米国民の多くはそもそもトランプ氏を怖いと思っていない。 トランプ氏は嫌う対象を慎重に選んでいる。
不法移民、メディアの批評家、自分とやり合う裁判所などがそれに当たる。
気が滅入る話かもしれないが、ほとんどの有権者は「自分」は大丈夫だと感じている。これはフランコやムッソリーニのような社会全体を覆う抑圧とは全くの別物だ。
1930年代のファシズムはそもそも、トランプ氏を理解しようとするレンズとして適切ではなかったが、第2次世界大戦やその原因についてほとんど知りすぎている評論家たちはまだそれを使っている。
ほかの有権者、そして世界の大半の国は今、それほど安心していられない。彼らの慰めになるような材料が何かあるだろうか。
確かに、トランプ氏は78歳で、米国のポピュリスト運動では余人を持って代えがたい人物かもしれない。
ほかに適当な表現がないために使えば、「地位の低さ」を微塵も感じさせずに口汚い言葉を使う独特なテクニックを持っている。
その点、バンス氏やロン・デサンティス氏、ビベック・ラマスワミ氏など後継者と目される人々には、どこかインターネットのチャットルームのようなところがある。