2期目のトランプ政権は何をするか

 では、それによる結果にはどんなものがあるのだろうか。高齢の新大統領は就任後に何をする可能性があるのか。

「帰ってきたトランプ大統領」は「束縛されないトランプ大統領」にもなると考える理由がいくつかある。

 まず、これが同氏の最後の任期になる。合衆国憲法修正第22条が適用されるなら、トランプ氏は2028年の大統領選挙には出られない。

 政権1期目にトランプ氏の行動を多少なりとも抑制したものは、再選を果たす目標だった。

 今では将来のことを気にかける誘因がほとんどない。例外があるとしても、自分の子供たちを政治家にしたいかもしれないということぐらいだ。

 また、1期目の政権にはレックス・ティラーソン氏やゲーリー・コーン氏など、トランプ政権ではなくジョージ・W・ブッシュ政権の閣僚になっても違和感はなかったように思える人材が多数いた。

 これに対して2期目は、トランプ氏自身がイメージしているチームになる可能性が高い。

 2016年とは異なる形でトランプ主義者の政治家や役人が存在する。

 ウクライナへの支援を削りたい、北大西洋条約機構(NATO)を弱くしたい、あるいは司法プロセスに介入したいなどとトランプ氏が言いだした時に、果たして政権内部の誰がそれを止めるのか。

 大統領が「エグゼクティブ・タイム」と呼ばれる自由時間を多く取れば、副大統領の影響力が強くなる。

 以前はそれが、右派だが従来型の政治家でもあるマイク・ペンス氏だった。今度はJ・D・バンス氏だ。

 おまけに議会も共和党が支配するとなれば、少なくとも向こう2年間は不安な展開になるかもしれない。