パープレキシティとは?
パープレキシティを巡っては、24年10月上旬、NYTが記事コンテンツの無断使用をやめるよう求める書簡を送ったことが明らかになった。NYTは法務事務所を通じて送った通知書で、「パープレキシティがNYTのコンテンツを利用して要約などの成果物を作成している行為は、著作権法に基づくNYTの権利を侵害している」と非難した。コンテンツへのアクセス及び利用を停止するよう求めた。
このような問題に直面しても、投資家のパープレキシティに対する意欲はそがれることはないようだ。WSJは24年10月20日、パープレキシティが過去1年で4回目の資金調達ラウンドにおいて5億米ドル(約755億円)超の資金調達を目指して交渉中だと報じた。これにより、パープレキシティの企業価値は80億ドル(約1兆2000億円)以上になるとみられる。
パープレキシティは、米オープンAIの技術者だったアラビンド・スリニバス氏らが2022年に設立した企業である。米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏や米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)などが出資している。
パープレキシティのサービスでは、利用者がウェブサイトの検索ボックスに質問や単語を入力すると、AIが生成した要約とともに、複数の情報源とそれらのリンクも表示する。同社の年間売上高は、約5000万米ドル(約76億円)。同社は現在、消費者向けプレミアム版サブスクリプション(定額課金)の販売で収益を得ている。最近は企業顧客向けエンタープライズ版を立ち上げた。今後は広告枠の販売も開始し、収益拡大を目指す。
ニューズがオープンAIと複数年契約、NYTはオープンAI提訴
このパープレキシティに対して訴訟を提起したニューズ社は24年5月、米オープンAIと複数年にわたるパートナーシップ契約を締結した。これにより、オープンAIはニューズ社傘下媒体のコンテンツを利用してユーザーの質問に答えたり、自社のAIモデルをトレーニング(学習)したりできるようになった。WSJによれば、ニューズ社には今後5年間で2億5000万米ドル(380億円)超の収益がもたらされるという。
一方で、NYTは23年12月、オープンAIと同社に出資する米マイクロソフトを提訴した。NYTの数百万本に上る記事が無断で使用され、生成AIシステムの訓練に使われたとしている。これらの生成AIは今や、情報源としてNYTと競合関係にあり、膨大な数の読者を奪うなど、事業に損害を与えていると非難した。
前述した通り、NYTは24年10月、パープレキシティに記事コンテンツの使用停止を求める通知書を送った。パープレキシティを巡っては、米誌フォーブスや米出版大手コンデナストもAI検索に無断利用されたと非難している。