米マイクロソフトと米メタの2024年7~9月期の決算は、いずれも増収増益で市場予想を上回った。だが、決算発表日の米国株式市場の時間外取引で、両社の株価は下落した。AI(人工知能)の需要増を受け、設備投資を増やすなか、2社の事業が投資を補えるほど成長できるのかといった懸念が広がっている。
マイクロソフト、7四半期連続の増収増益
米マイクロソフトの2025会計年度第1四半期(24年7~9月期)決算は、売上高が前年同期比16%増の655億8500万ドル(約10兆500億円)、純利益が11%増の246億6700万ドル(約3兆7800億円)だった。
7四半期連続の増収増益で、5四半期連続の2桁増収、6四半期連続の2桁増益を確保した。1株利益は3.30ドル(前年同期は2.99ドル)で、売上高とともに市場予想を上回った。だが、24年10~12月期の売上高見通しが市場予想に届かなかった。決算発表日の時間外取引でマイクロソフトの株価は一時上昇したものの、その後、終値から約4%下落した。
MSクラウド基盤の増収率33%、アナリスト予想上回る
マイクロソフトの売上高を事業部門別に見ると、全体の4割弱を占める主力「インテリジェント・クラウド」部門が、前年同期比20%増の240億9200万ドル(約3兆6900億円)だった。AI事業の中核を担うクラウド基盤「Azure(アジュール)」などの売上高は33%増加し、アナリストの予想を上回った。しかし、24年10~12月期の成長率見通しは31~32%と、伸びがやや鈍化すると予測している。
Azureの増収率の12ポイント分はAI需要によるものだった。この貢献度は前四半期で8ポイント、24年1~3月期で7ポイント、23年10~12月期で6ポイントと、四半期ごとに増加している。
マイクロソフトCFO(最高財務責任者)のエイミー・フッド氏は成長鈍化の要因として、AI需要への対応が追いついていないことを挙げた。同氏は決算説明会で、「需要に応えるために、今後クラウドコンピューティングのキャパシティーをさらに増強する必要がある」と説明した。
コンピューティング17%増、ビデオゲーム61%増
「Office」や「Dynamics」など、売上高全体の4割強を占める「プロダクティビティー&ビジネスプロセス」部門の売上高は、前年同期比12%増の283億1700万ドル(約4兆3400億円)だった。企業向けの業務ソフトをまとめた「Office 365 Commercial」は15%の増収だった。マイクロソフトは業務ソフト群などで利用可能なAI支援機能「Copilot(コパイロット)」を提供し、収益化につなげる戦略を打ち出している。
パソコン基本ソフト(OS)の「Windows」などを含む「モア・パーソナル・コンピューティング」部門の売上高は、17%増の131億7600万ドル(約2兆200億円)。パソコンメーカー向けWindows及びデバイス部門の売上高は2%増だった。検索及びニュース広告は18%増加した。
ビデオゲーム事業(コンテンツとサービス)の売上高は61%増加した。23年10月に買収した米ゲーム大手アクティビジョン・ブリザードが増収に大きく寄与した。アクティビジョン事業はビデオゲーム事業の増収率を53ポイント押し上げた。