サイバー心気症になりにくい人

 生成AIではないのだが、「グーグル先生」によるサイバー心気症をどう防ぐかを考察した研究において、シドニー大学のヴラダン・スタルチェビッチ教授は「情報リテラシーが高い人ほどサイバー心気症になりにくい」と指摘している。

 彼によれば、サイバー心気症を防ぐには、以下の4つの姿勢が重要になるという。

 これらはすべて、情報リテラシーが関係する行動であり、それを高めることが欠かせないというわけだ。これらはChatGPT時代のサイバー心気症についても有効なアドバイスだろう。

 もちろん、ハルシネーションやバイアス、あるいは人間以上の説得力といった、生成AIが抱える特有の問題点を理解することも有効だ。しかし根本的な情報リテラシーを高めておけば、これから生成AIだけでなく、情報収集に関する新しいテクノロジーが登場してきたとしても、それがもたらす医療情報に振り回されるリスクを軽減できる。

 生成AIは私たちの力になってくれるテクノロジーだが、それは同時に不安の種にもなり得る。それを常に心に留めておき、不安を感じたらすぐにスマホやPCのスクリーンから目を離すこと。それだけでも、サイバー心気症に対する有効な手立てとなるかもしれない。

【小林 啓倫】
経営コンサルタント。1973年東京都生まれ。獨協大学卒、筑波大学大学院修士課程修了。
システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業、大手メーカー等で先端テクノロジーを活用した事業開発に取り組む。著書に『FinTechが変える! 金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』『ドローン・ビジネスの衝撃』『IoTビジネスモデル革命』(朝日新聞出版)、訳書に『ソーシャル物理学』(草思社)、『データ・アナリティクス3.0』(日経BP)、『情報セキュリティの敗北史』(白揚社)など多数。先端テクノロジーのビジネス活用に関するセミナーも多数手がける。
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