経済的なバイタリティーを徐々に奪う「がん」

 ロペスオブラドール氏を支持する向きは、この騒ぎが理解できない。

 支持者らは、大統領は今年2月に計画を発表しており、有権者は6月の選挙でMORENAに圧倒的多数を与えることによって計画にお墨付きを与え、大統領と同氏が自ら後継者に選んだクラウディア・シェインバウム次期大統領は常に改革を実行する意思を明確にしてきたと指摘する。

(シェインバウム氏は実際、5月に本紙フィナンシャル・タイムズにそう語っていた)

 ただ、大半の外国人投資家は彼らが言うことを信じたくなかった。

 MORENAが選挙で圧倒的多数を獲得できないこと、あるいは気候科学者で前メキシコシティ市長のシェインバウム氏が現実的なテクノクラートであることを期待した。

 米シティ・グループの中南米担当チーフエコノミスト、エルネスト・レビリャ氏は、市場は「まだ希望の兆しを期待し、メキシコに対する強気のストーリーを信じたいと考え、信じる口実を探している」と語る。

 ただ、実際には、憲法改正はメキシコの経済的バイタリティーを少しずつ削いでいくと同氏は言う。

「これは心臓発作というより、むしろがんに近い」

 米外交問題評議会(CFR)のメキシコ専門家、シャノン・オニール氏は投資家がブレーキの役目を果たす見込みはほとんどないと見ている。

「ロペスオブラドールはエンジン全開で、シェインバウムは本当に信じているために大統領の計画に一段と力を入れ、彼らは圧倒的多数を握っており、計画は実現する」

「市場危機のリスクが彼らを思いとどまらせるとは思えない。彼らはこれをやるのを6年も待ってきた」

By Michael Stott
 
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