例えば韓国サムスン電子は最新スマホのAI機能を大々的に宣伝してきた。米調査会社のベイストリート・リサーチが通信キャリアの店舗で実施した調査では、現時点でAIはマイナーなセールスポイントにすぎないことが分かったという。「AIはまだ大衆に浸透していない」と、ベイストリート・リサーチ主席アナリストのクリフ・マルドナード氏は指摘する。

 一方、一部の投資家は、iPhoneの販売は今後好調に推移すると予想している。その要因は、多くのiPhoneユーザーが買い替え時期を迎えているからだという。アナリストらは、25年9月末で終了するアップルの25会計年度におけるiPhoneの売上高は前年比で約5%増加すると予測している。

iPhone、2四半期連続減収 中国で低迷

 アップルが先頃発表した、24年4~6月期におけるiPhoneの売上高は、前年同期比1%減の392億9600万ドル(約5兆6400億円)だった。iPhoneはその前の四半期に10%減少していた。

 24年4~6月期は中国市場の売上高が大きく落ち込んだ。香港と台湾を含む中華圏の売上高は7%減の147億2800万ドル(約2兆1100億円)。アップルにとって3番目に大きな市場である中国は、依然として業績の重荷となっている。

 中華圏の売上高は4四半期連続で減少。24年1~3月期は前年同期比8%減、その前は13%減と推移していた。24年4~6月期は改善が見られたものの、市場予想に届かなかった。

 前述した通り、Apple IntelligenceはオープンAIのChatGPTと連携し、ユーザーに生成AI機能を提供する。しかし、中国では海外の生成AIが禁止されている。これによりアップルは現地のAI開発企業と連携する必要がある。しかし、同社はまだ中国のAIパートナーを発表してない。

 米調査会社IDCのシニアリサーチディレクター、ナビラ・ポパル氏は「iPhoneの出荷台数は今後伸びるとみられるが、その度合いは、アップルがどれだけ早く中国の現地AI企業と連携できるかにかかっている」と指摘する。