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(取材・文:松原 孝臣 撮影:積 紫乃)

今年86歳で現役の「氷の職人」

「ファンタジー・オン・アイス」「Everlasting33」「氷艶」「プリンスアイスワールド」「THE ICE」……。春から夏にかけて、さまざまなアイスショーが行われた。

 例えば「ファンタジー・オン・アイス」の幕張公演なら幕張メッセ、「氷艶」なら横浜アリーナというように、通常は氷が張られていない会場で実施された。つまりリンクを設営する作業が必要になるが、これらのショーに、いわゆる「氷の職人」として携わった人がいる。髙橋二男(ふたお)である。スケートリンクの設営や運営、管理などを手がける株式会社パティネレジャーの一員として従事している。

 髙橋はもともと同社の社員として従事し、定年退職したが請われて復帰し、今日に至ったという。現在は86歳になる。

 今は7月27・28日に行われる「THE ICE」の東京公演(LaLa arena TOKYO-BAY)の準備のため南船橋にいる。

2024年7月にオープンした「LaLa arena TOKYO-BAY」。B.LEAGUE「千葉ジェッツ」のホームアリーナとして利用されるほか、コンサートやアイスショーなども行われる 写真=show999/イメージマート

「長期間、1回も家に帰っていないですね」

 と笑う。

 86歳である髙橋は、今なお全国を飛び回り、作業にあたっている。

「やっぱり好きじゃないと、続かない気はしますね」

 穏やかに笑う。

 つまりは好きな業務であることを表している。その作業はどのようなものなのか、リンク設営作業を確認しておきたい。