恐らく、中国は、ASMLが輸出を禁止する2023年9月1日までに、大量のArF液浸を発注したと思われる。それ故に、2023年Q2~Q3にかけて、ASMLによるArF液浸の出荷額が急増し、同じ時期に中国向けの露光装置の出荷額が増大したものと考えられる。

 その後、ArF液浸も、中国向け出荷額も、2024年Q1にかけて減少した。そのため、筆者は、同年Q2にArF液浸と中国向け出荷額がさらに下がるものと予想していた。ところが、その予測はまったく外れた。

2024年Q2にArF液浸も中国向けも過去最高を記録

 筆者の予測をあざ笑うかのごとく、ArF液浸も、中国向け出荷額も、2024年Q1からQ2にかけて急増し、どちらも過去最高の出荷額を記録した。つまり、2024年Q2においても、中国が大量のArF液浸を導入していると考えられる。

 ではなぜ、このようなことが起きたのだろうか? ASMLは2023年9月1日以降、中国にはArF液浸を出荷しないことになったのではないか?

 これについて、筆者は次のように推理した。