競馬との決定的な違いと「人馬一体」の精神

 走る目的から始まって、騎乗服(競馬でいう勝負服)、鐙(あぶみ)の位置、騎乗姿勢など、馬術と競馬は似て非なるものですが、ただ一つ共通するのが、動物を伴う競技ということで「人馬一体」の精神でしょう。

「人馬一体」という表現は競馬でもよく耳にしますが、レースや競技以外での馬との付き合い方という点で「人馬一体」によりいっそうふさわしいのは馬術競技に軍配が上がるでしょう。

 競馬の場合、テン乗りといってレースの日に初めてその馬に騎乗するケースもあるくらいですが、馬術の場合、愛馬と同じ時間を長く共有して過ごすことで人馬の気持ちの共有を確かなものにします。

 共有する時間は馬が死亡するまで続くこともあり、競馬よりはるかに長く一つの心を共有することになります。

 また、あえて競馬との共通点をさがせば、馬術もまた、選手(競馬だと騎手)と馬の名前の両方が記憶に残る競技だと言えます。