次の写真は、東山円筒分水の近くに設置された案内看板で、片貝川の川底の下に埋められた導水管を通じて水が送られてくる様子が図解で説明されている。

近くに設置された案内板では、片貝川をくぐって水が送られる仕組みを説明している近くに設置された案内板では、片貝川をくぐって水が送られる仕組みを説明している

地味だが美しい色の貝田新円筒分水

 上述した貝田新円筒分水は、東山円筒分水に比べると知名度が低く、地味でひっそりとした場所にある。しかし、こちらは東山とは別の味わい深さがあるので、こちらもあわせて見てほしい。下の写真のように、面取り矩形(角の丸い四角形)の吹き出し口は深いエメラルドグリーンで、吸い込まれそうな魅力がある。

神秘的な吹き出し口のある貝田新円筒分水神秘的な吹き出し口のある貝田新円筒分水

 その神秘的な吹き出し口の映像をご覧いただこう。

 片貝川流域を航空地図で見ると、山地から平地に切り替わるあたりから扇状地が形成されているのがよくわかる。2つの円筒分水は扇頂(扇状地の頂点)に位置し、片貝川を中心に扇状に広がる農地に水を送り出す重要な役目を担っている。

片貝川流域の地形(国土地理院)片貝川流域の地形(国土地理院)

 本稿の写真や動画は7月末に撮影したものだが、東山円筒分水の見ごろは、水量が多い5月から8月中旬まで。できれば、青天の広がる晴れた日に見に行ってほしい。