欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は2024年7月1日、米メタが巨大IT(情報技術)企業を規制する「デジタル市場法(DMA)」に違反しているとする予備的な見解を発表した。同社が23年に欧州向けサービスに導入した「同意か支払いか」の二者択一モデルを問題視した。
欧州委「二者択一は同意の強要」
欧州委は「メタの二者択一モデルは、利用者に個人データの広告利用に同意することを強制するものだ」と指摘している。
マルグレーテ・ベステアー上級副委員長(競争政策担当)は、「我々の調査は競争市場を確保することを目的としている。メタはDMAを順守していないというのが予備的見解だ。市民が自身のデータをコントロールし、よりパーソナライズされていない広告体験を選択できるようにしたい」と述べた。
メタ、EU規制対応で有料サービス導入
メタは23年11月、18歳以上の欧州ユーザーを対象に、「Facebook(フェイスブック)」と「Instagram(インスタグラム)」の広告なし有料サービスを始めた。
サービスの利用履歴に基づく広告(行動ターゲティング広告)の配信を制限するEUの規制に対処するためだ。行動ターゲティング広告を配信する場合は、事前にユーザーの同意を得る必要がある。だが、そうすることで、多くのユーザーは同意しないとみられる。このことは、売上高の98%を広告収入が占める同社のビジネスを脅かすことになる。
そこでメタは欧州の利用者に対し、FacebookとInstagramを、①同意して、広告付きで利用する「広告型」、②同意せず、広告なしで利用する「有料型」、の2つを用意した。