次のグラフは「2023年5月にひとりでカラオケに来ていたと思われるユーザー男女360人の歌唱曲30曲ずつ」を対象として、「同じ曲を2回以上歌っていたユーザー」の割合を算出したものです。


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 全体では70%のユーザーが、ひとりカラオケで同じ曲を2回以上歌っています。各性別・年齢層グループの人数は30人ずつと限られているのであくまで参考ですが、割合を算出すると、多いところでは男性20代や60代、女性40代で80%以上のユーザーが同じ曲を2回以上歌っていたということがわかりました。確かに「リピートはひとりの特権」という側面がありそうです。

何曲を、いつ、2回以上歌っていたのか?

 また分析対象としたユーザーの歌唱曲は曲順の情報も付随しているので、各ユーザーが「30曲中の何曲を、いつ、2回以上歌っていたのか」を比較する視覚化も可能です。

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 次のグラフは全員の1カ月間の歌唱曲30曲を、歌われた順に横方向に並べたものです。ユーザーごとの歌唱曲の中で2回以上歌われた曲にはすべて色をつけています(2回以上歌った曲が複数ある場合も同一の色付けとなっています)。逆にそのユーザーが1回しか歌っていない曲には色がついていません。つまり「色付きのセルが多いほど、そのユーザーは同じ曲を何度も歌っている」ということになります。

 まず男性からみてみましょう。グラフ左側の縦軸には匿名化して記号で表記したユーザー名が並んでいます。横軸にはその人が歌った曲の順番を示す1から30までの番号が並んでいます。したがって「1行=ある人の30曲分の歌唱データ」となっています。


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 ご覧のようにあちこちに色付きのマス目が非常に目立っており、程度の差こそあれ、多くのひとりカラオケユーザーが、曲順にかかわらず同じ曲を2回以上歌っているということがわかります。該当するユーザーには左側に黄色でハイライト(網かけ)しました。男性の場合、180人中126人が該当し、比率にして70%のユーザーが同じ曲を2回以上歌っていました。“歌った曲がすべて別の曲”というユーザーは30%に留まりました。

 そして同じ曲を2回以上歌っているユーザーのなかでも30代、40代、50代には1人ずつ、色付きセルが横一直線に切れ目なく並んでいるケースが存在します。これは「その人がひとりで歌った30曲すべてが、複数回歌った曲で占められている」ということを示しています。つまり「1回しか歌わなかった曲はゼロ」というわけです。例えば3~4人でカラオケに行った際は誰かが歌った曲とは違う曲を入れていくのが一般的ですから、これはまったく逆の状況であるといえます。

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