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ひとりカラオケという「密室」で行われている行動をデータ分析で解き明かすと、意外な傾向が見えてきた(画像・グラフ作成、以下すべて筆者)ひとりカラオケという「密室」で行われている行動をデータ分析で解き明かすと、意外な傾向が見えてきた(画像・グラフ作成、以下すべて筆者)

(文:伊藤耕太)

 ひとりでの生活行動=「ソロ活」の市場が拡大している。今回は「ひとりカラオケ」に着目。通信カラオケのデータを分析すると、「同じ曲を何度も歌う傾向」「違う性別・年齢層で共通して歌われる曲の存在」が明らかになった。知られざる「ひとりの世界」には、意外にも他者とつながるヒントがあった。後編は「違う性別・年齢層で共通して歌われる曲の存在」について。

「同じ曲を何度も歌う傾向」に関する前編はこちら。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81733

ひとりカラオケユーザー同士で、同じ曲を歌っている人はどれくらいいる?

 ひとりカラオケのデータ分析からは、多くの人が「同じ曲を何度も歌っている」ということがわかってきました。その歌唱行動は当然、別々の場所で別々の時間に、ある意味で孤独に行われています。そんな孤独なひとりカラオケは、前編で紹介した生活者の声にあったように実際に他人との共有が難しいのでしょうか。本当に難しければ、ひとりカラオケユーザーが歌っている曲はみんなバラバラ、ということになります。もし一緒にカラオケに行ったとしても、お互い知らない曲を披露しあう会になりそうです。

 そこで「ひとりカラオケユーザー同士が、同じ曲を歌っている相手はどれくらいいるのか? いるならどんな曲が共通して歌われているのか?」という観点からデータを可視化してみましょう。まず、今回分析対象としたユーザーの中で「歌唱曲が他のユーザーと1曲以上共通しているユーザー」は360人中、354人存在し、実に98.3%が該当しました。ほとんどの人が、誰かしらと同じ曲を歌っているということになります。

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 また「他のユーザーと1曲以上の曲を共通して歌っているユーザー同士が、平均して何曲を共通して歌っているか」を算出すると、2.7曲を共通して歌っていました。2人でカラオケに行ったら、「あ、この曲私も歌える! いいよね」というような瞬間が3回前後は訪れるということですね。

 ではそうした共通曲は誰と誰の間に生まれているのでしょう。年齢の近いユーザー同士でしょうか? それとも年齢が離れたユーザー間にも存在するのでしょうか? この実態を視覚的に明らかにするために、コードダイアグラムを使ってみましょう。データの関係性を円形に表現するもので、異なる項目間のつながりを視覚的に理解するのに役立つ手法です。

 今回対象としている360人のひとりカラオケユーザーにおける、各30人の性年齢層から、(可読性を考慮し)共通曲が多いユーザーを最大3人ずつ抽出し、10代から時計回りに車座のように並べます。そのうえで、歌唱曲が共通している人同士を曲単位で線(コード)で結ぶと「年齢を超えて同じ曲を歌うユーザーの存在が、多いのか少ないのか」が明らかになるのです。

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