◎第1回「【都知事選を100倍楽しむ方法①】総投票数は約600万票、AKB世界選抜選挙を超える巨大選挙で勝ち抜く候補者とは」から読む
(坂本東生:前自民党板橋区議会議員)
小池v.s.自民 8年政争の終結か?
6月20日から始まる都知事選告示日を目前に控えた6月12日、都議会最終日に小池百合子都知事がようやく3期目へ向けての出馬を発表した。
新聞各紙によると、知事サイドは「政党の支援は求めないが、自主的支援は拒否しない」と報道されているが、実際には各党が確認団体の立ち上げを検討するなど実質的な支援体制を組む姿勢を見せている。
国政、都政と複雑に絡まる東京の政治の今後の行く末は知事選挙だけ見つめていても解を出すことは難しい。同時に開催される都議会議員補欠選挙8カ所の結果による都議会構成がカギを握っている。
来年に実施予定の127議席改選となる都議会議員選挙本選を1年後に控え、同日の7月7日に投開票となる都議補選の結果は、今後の都政だけでなく、国政や各自治体へも知事選の結果以上に大きな影響を与えてくるだろう。都民以外には、いやもっと言えば8カ所地域の有権者でさえ興味も関心も薄いかもしれないこの補欠選挙が大きな意味を持っているのだ。
今後の都政、またその後に続く国政選挙への大きな布石になるものとして、なかなか都民からも注目されにくい都議補選について、ぜひ全国の方に向けて解説をしたい。
「緑のたぬきv.s.黒いねずみ」の終焉間近
緑のたぬきは言わずと知れた小池知事率いる都民ファースト、黒いネズミはブラックボックスと揶揄された自民党東京都連のことだ。
小池都ファv.s.自民党[審判は公明党]の8年政争に、とうとう幕引きの時が訪れようとしている。ブラックボックスと揶揄されワイドショーを中心に囃し立てられた自民党都連である。
私自身その現場に長らくいた人間として、この8年に積まれてきた自民党政治家たちの怨念にも似た感情と、罵り合うミートパイの投げあい合戦の虚しさを忘れることはない。
現在もなお局地戦では衝突している自民党と都民ファーストであるが、自民党支持者のうち6〜7割が知事選で小池百合子氏を支持との調査があると聞くし、また自民党本部としても12日の小池都知事出馬宣言のあとすぐに小渕優子・党選対委員長を中心として対応を検討することになるだろう。
現実的に国側の党本部と知事本人が近寄っている中、都議会自民党会派としては「政策的に一番近いのは小池知事」との発言もあるものの、都議補選で都ファと自民党の候補予定者が正面対決する選挙区が3カ所ある。
まずは党本部選対として、小池都知事との距離感について、党としてこれまで行われてこなかった自民党支持者に対して納得できる直接の説明を行うことが極めて重要ではないか。腹落ちのきっかけやタイミングがないままでは、手打ちが鳴らせない。
一方で都民ファーストとしても、党設立以来、知事政党として歩んではきたものの、地域への根の張り方や政治的実力について党所属議員間で大きな力の差があるのも事実だ。また、現在71歳を迎える知事の「その後」を見据えたとき、新しい御旗や中心人物はどうするのか、という問題もある。
公明党としては、ブレずに小池知事を支援しつつ政党として推しの政策を掲げてきており、ジャッジ・審判としての現在の影響力を維持したい。立憲と共産党が都内各地でぽつんぽつんと首長選挙を取ってきており、これ以上の立憲と共産の興隆は抑えたいところであろう。