1日に一度は、10分間の歯磨きをしてほしい

「おとなの歯磨き」には、これまでの歯磨きと大きく3つの違いがあります。それが「磨き時間」「歯ブラシの持ち方」「磨き方」です。

 まずは、磨き時間ですが、じつに7割の人が、3分未満で歯磨きを終えています。
 
 これこそ「こどもの歯磨き」と「おとなの歯磨き」の大きな違いです。

イラスト© 森マサコ、出所:『おとなの歯磨き』(伊東材祐著、フローラル出版)

 朝は1分でも無駄にできないという人が多く、夜は仕事から帰ってきたら疲れていていろいろおおざっぱになる。やる気が出ない。このような生活が続けば歯磨きに時間を使えないのも無理はありません。

 しかし、これではどうしても磨き残しが出てしまいます。じっさいに、歯垢染色剤を歯磨き後に使ってみると、赤く染まった歯を確認できます。

 では、どれくらい磨けばいいのかと言うと、10分間です。上手に10分間磨くことができれば、だいたいのプラークは除去できます。さらに、フロスや歯間ブラシ、スポンジブラシを併用することで、ほとんどのプラークを除去できます。

 ですので、まずは1日1回は10分間の歯磨きタイムを確保してください。

 そして、歯ブラシの持ち方。多くの人が手をグーの形にして歯ブラシを握り、ゴシゴシと力強く磨いていますが、これではプラークを隅々まで除去できません。

 歯は狭い面積のうえ、カーブや凹凸があるので、小刻みで繊細な動きが求められます。絵を書くときにペンをグーで持つとうまく書けないように、上手に隅々まで磨くためには、ペンを持つような感じで、人差し指、中指、親指の3つの指で優しく持って、シャカシャカと磨きましょう。

 また、グーで持つことで歯ブラシの毛先は歯に強く押し付けられ、必要以上に曲がって潰れてしまいます。歯ブラシの毛先がよく開いてしまう人はこれが原因です。

 歯ブラシを優しく持つことで、毛先のしなやかさを活かして効果的にプラークを除去するだけでなく、歯周病対策である歯周ポケットへのアプローチも歯茎を傷つけずにスムーズに行えます。

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