不信感を募らすイラン有権者

 多くのイラン国民はただ投票を棄権することで怒りを発散すると思っていいだろう。

 2021年には、1979年のイスラム革命以来初めて大統領選挙の投票率が50%を割り込んだ。今年開かれた議会選挙も過去最低の投票率を更新し、41%にも届かなかった。

 イラン・イスラム共和国の建国以来ずっと、有権者の参加を通して国民の負託があるという正統性を打ち出そうとしてきた体制にとっては、いずれも恥ずかしい事態だった。

 だが、このプロセスは、ハメネイ師をはじめとした強硬派が、自分たちの望む後継者を確保し、強硬派による完全支配を維持にするためなら民主主義の信頼性のイメージを犠牲にすることを厭わないことも浮き彫りにした。

 この傾向は今後も続くことが予想され、幻滅した何百万人ものイラン国民は、改革派に何らかの道が開かれること、あるいは政府が強硬路線の政策の手を緩めることをほとんど期待できない。