検察の「隠し玉」は何か

 前述のように21年4月28日に逮捕された早貴被告の本丸の殺人罪での裁判の日程はまだ発表されていない。逮捕から丸3年も経っても初公判が開かれていない異常な状況なのは筆者も以前から指摘してきた。

(参考)「紀州のドン・ファン」の不審死から5年、未だ裁判が開かれない異常事態(2023.5.24)

 和歌山市内の拘置所に拘留されている早貴被告は逮捕以来、現在も接見禁止が続いている。そして「ようやく初公判か」と思ったら別件の詐欺罪での裁判である。

「別件といっても早貴被告の裁判が始まるワケですから殺人事件についての公判も間もなく始まるのではないかとの見方もありますが、誰が早貴被告の弁護を委託されているのかも判明していません。裁判員裁判で裁かれる予定ですが、そこで必要な公判前準備手続きがどうなっているのかも明らかにされていません。

 取り調べでは殺人を否認しその後は黙秘を貫いた早貴被告は、裁判でもそのようにすると思います。裁判で検察が彼女を犯人とする証拠を出してくるのかどうかに関心が集まっていますが、検察はこの事件の事情を良く知る立場にいるドン・ファンが経営していた酒類販売会社アプリコの番頭さんとジャーナリストの吉田氏に対し証人としての出廷のお願いをしていない。ということは状況証拠以外に、例えば早貴被告に覚せい剤を売り渡した人物を特定するような切り札を隠し持っているのかもしれません」(前述・司法記者)

 事件から6年も経ち、早貴被告の逮捕から3年も過ぎた。裁判が始まったら審理が長引くことは容易に想像できる。こんな長い期間を潰す必要があったのか裁判所は開示して世間の了承を得ることが必要だと思うが、裁判所にはそのように動くことはまず期待はできないのだ。