健康被害報告の事業者22社超

 小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」など3品目が健康被害を引き起こした後、機能性表示食品に対する消費者の不安感は急速に増しています。問題の発覚後、紅麹成分を使っているかどうかを問わず、機能性表示食品の売り上げは2割減少しているとの報道もありました。

 消費者庁の相談窓口には、全国から相談の電話が殺到しました。その中には「紅麹」だけでなく、その他の機能性表示食品についても被害や不安を訴える声があったと言います。そのため、消費者庁は機能性表示食品を届け出ている全1693事業者・6795食品を対象にした緊急点検を実施しました。

 その結果、医療従事者から健康被害報告を受けていた機能性表示食品の事業者は22社を数え、35食品で計147件に達しました。このなかに死亡例はないものの、問題の裾野が知らぬ間に広がっている可能性もうかがわせる結果となっています。

 また消費者庁は、民間事業者に全てを任せる機能性表示食品の制度そのものに問題がなかったかどうか、制度の見直しも含めて検討に入りました。大学や研究機関などに所属する専門家9人で構成する検討会は4月下旬に初会合を開催。5月末までに6回の会合を開いて見直しの方向性を打ち出す方針です。

 規制緩和は万能ではありません。小林製薬の「紅麹」問題はそのことを改めて見せつける格好となりましたが、検討会の結論は規制強化に向かうのでしょうか、それとも別の形に落ち着くのでしょうか。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。