トクホなど3つの「保健機能食品」

 いわゆる「健康食品」には、法的な定義がありません。他方、国の制度に則って食品に機能性(効能)を表示できる食品のことを「保健機能食品」と言い、その中には「特定保健用食品」「栄養機能食品」、そして「機能性表示食品」という3つのカテゴリーがあります。

出所:消費者庁の資料などからフロントラインプレス作成
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 特定保健用食品、通称「トクホ」とは、健康の維持・増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品です。表示されている効果や安全性については国が審査を実施し、食品ごとに消費者庁長官が製造・販売を許可します。

 栄養機能食品とは、特定の栄養成分を補給するために利用される食品であり、かつ、科学的根拠がすでに確認されている栄養成分(ビタミン13種類、ミネラル6種類など)を一定の基準量で含んでいる食品です。

 これに当てはまる食品は国の指定する定型文で表現することが可能です。例えば、「ビタミンB12は赤血球の形成を助ける栄養素です」「ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です」などの文章です。

 3つ目が機能性表示食品で、規制緩和を推進する政府によって2015年に誕生した新しい仕組みです。

 実施2年前の2013年に閣議決定された政府の「規制改革実施計画」によると、新制度の対象は特定保健用食品と栄養機能食品には含まれない加工食品や農水産物。それらの市場を拡大するために従来の規制を緩和し、健康によいとされる食品について機能性の表示を認めたのです。

 しかも、民間のノウハウを活用するとして、機能性の科学的根拠の証明や表示方法については民間事業者に任せることに決定。国に届け出る必要はあるものの、事業者の責任で機能性の確認や表示を行うことになりました。特定保健用食品と違い、国の個別審査を受けることはありません。

 消費者庁の資料によると、機能性食品の表示例には次のようなものがあります。

▼本品にはDHA・EPAが含まれます。DHA・EPAには中性脂肪を低下させる機能があることが報告されています。
▼本品にはイヌリンが含まれます。イヌリンには食後の血糖値上昇を抑える機能があることが報告されています。

 こうした表示を持つ食品は大量に流通しており、ドラッグストアの店頭などで手にした人も多いはずです。