国・自治体は「空き家」にどう取り組んできたか

 政府も、これまで、空き家問題に対して様々な対応策を講じてきた。

 2014年11月には「空き家対策特別措置法」を成立させ、老朽化で倒壊の恐れがあったり、衛生上有害となったりする「特定空き家」については、6分の1の優遇措置を外した。さらに、撤去する行政代執行を可能にした。

 2023年12月の法改正では、「特定空き家」の前段階として「管理不全空き家」を新設し、行政が指導・改善を促し、勧告を行えるようにした。勧告を受けた管理不全空き家は、特定空き家と同様に、固定資産税などの軽減措置を受けることができなくなる。

 さらに、今年4月から、不動産の相続登記を義務化した。これは所有者不明の空き家を減らすためであるが、土地の取得を知った日から3年以内に正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の適用対象となる。

 しかし、以上のような対策が十分な効果を発揮しているとはいえない状況である。各自治体の取り組みも必要である。

 私が東京都知事のときには、空き家の有効活用として、たとえば高齢者福祉や子育て支援に、また芸術文化活動の拠点に転用することを考えた。具体的には、一戸建て住宅を高齢者の共同住宅(グループリビング)に改修したり、介護職員の宿舎として活用したりするなど、様々な対策を検討した。

 また、区市町村を支援するため、「空き家利活用等区市町村支援事業」として、2015年度には1億円、2016年度には2億7000万円の予算措置を講じ、(1)空き家実態調査への補助、(2)空き家等対策計画への補助、(3)空き家改修への補助、(4)老朽空き家除却への補助、(5)専門家を活用した空き家相談体制整備への補助を実行した。今の都政も、この方針を継続している。