新たな資産運用会社、波乱の出発
私たちが設立した独立系の資産運用会社「なかのアセットマネジメント」も、こうした考えに基づきアクティブ型の投資信託を手掛けます。日本株と世界株の2つのファンドで、4月25日に新規設定し、19日から楽天証券で募集を始めました。まさに、イスラエルがイランに報復攻撃をした日で、波乱の船出となりました。
昨年6月、セゾン投信の会長の座を追われてからほぼ10カ月で、新たなファンドをようやく立ち上げることができました。スピードを重視してきたつもりですが、当初のもくろみより数カ月遅れました。手続き上の慣習に阻まれたのが要因です。
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政府は資産運用立国を掲げ、新たな運用会社の参入をうながす方針を示していますが、高い参入障壁は依然として残っているわけです。
それでも、当初思い描いていた理想の形にかなり近い資産運用会社を作ることができたと思います。
最もこだわったのが、独立性です。そもそも、私がセゾン投信を追われたのは、親会社であるクレディセゾンの意向が強く働いたからでした。私が目指していた顧客本位の資産運用という経営方針と、規模の拡大を急ぎたい親会社の方針が、相容れなかったのです。
私の経営方針を信頼して大切なお金を預けてくださった個人投資家の皆様に対しては、長期の資産運用という責務を全うできずに大変申し訳なく思っています。こうした事態を二度と起こさないためにも、なかのアセットマネジメントでは私が過半数の議決権を持ちつつ、私の方針を理解してくださる株主を募りました。
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最終的に主な株主は、スパークスグループ、第一生命ホールディングス、ソニーフィナンシャルグループの3社。取締役会の体制は、私を含む社内から3人、社外からはソニーフィナンシャルグループ社長兼CEO(最高経営責任者)で元金融庁長官の遠藤俊英氏ら4人を招きました。社外取締役が過半数を握ることで、ガバナンスを強力に効かせます。
これにより、顧客本位の資産運用を徹底したいという私の理念を実現できると考えています。資産運用会社が親会社の意向に左右されやすいという業界が抱えている課題に対して、1つの解を示せたと自負しています。
マーケットが大揺れの中での出発となりましたが、危機に負けずに日本に本格的な資産運用を普及させる牽引役を果たしていきたいと、身を引き締めております。今後の連載もぜひ、楽しみにしてください。
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