「新NISAを始めれば絶対もうかる」
まず、大前提として、マーケットが右肩上がりに上昇し続けることはあり得ない、と肝に銘じておきましょう。「当たり前だろう」と思う方も多いと思いますが、「新NISAを始めれば絶対もうかる」と言わんばかりの解説が世の中に氾濫していたので、そんな感覚に陥っていた人も多いと思います。
確かに、米国の株式指標(インデックス)であるS&P500の推移を見れば、これまではおおむね右肩上がりに上昇してきたように見えます。世界の人口は今後も増え続けることから、グローバルで見れば経済は成長し続ける、すなわち世界の株式マーケットも上昇していく、という説明も理解できます。
こうした解説を信じて、新NISAを始めるにあたり、まずはS&Pのほか、世界の株式いわゆるオールカントリー(オルカン)と名付けられたインデックス型の投資信託を購入した方も多いはずです。
しかしこれは、「S&Pやオルカンに投資をしておけば問題ない」という、S&Pやオルカンを扱うファンド運用会社や販売会社のマーケティングが成功した結果です。それを受けて資産運用を始めた方々のマーケットに関する理解は、まだ不十分だと言わざるを得ません。
「S&Pはもうかる」という見方について言えば、結果的に過去はそうだった、ということを言っているに過ぎません。人口の増加を背景として世界経済が成長しても、マーケットはアップダウンするので必ずしも連動しません。究極的にはマーケットは実体経済の動きに回帰するかもしれませんが、それがいつになるのか、誰にもわからないのです。
そもそも、これまでマーケットが上昇してきたのは、異常なほどの過剰流動性、つまりカネ余りの状況が長く続き、だぶついた資金が株式市場全体に流れ込んでいたからです。しかし、もはやそうした異常な状況は長続きしないでしょう。そのあたりの詳細は、澤上さんとの対談をお読みください。
【関連記事】
日経平均株価が史上最高値、いよいよ「大暴落」始まる?新NISAの投資初心者は大火傷か、過剰流動性はもう限界超えた
つまり、マーケット全体が「右肩上がりに上昇し続ける」という見方は幻想である、としっかりと理解していただきたいと思います。今回のマーケットの急落を、いい学びの機会にしてほしいのです。