資産を守りつつ、お金を増やす「コア・サテライト戦略」

 後日、私の元にM男さんとお父様がやってきました。お父様の開口一番は、「どの株が儲かりますか?」でした。おそらく、M男さんは、儲かる銘柄を教えてくれる人がいるなどの理由でうまく誘いだしたのでしょう。

 お父様と雑談をしながら打ち解けたところで、私は僭越ながらお父様に株式投資で成功するのはプロでも難しいこと、その理由、本当に成功するためには、どういう知識を身につける必要があるのかなどをお話しさせていただきました。

 その上でそもそもの資産運用の考え方についてもレクチャーしました。資産を守りつつ、お金を増やすには「コア・サテライト戦略」で資産形成を行うのが良いと考えています。

 この戦略は、機関投資家なども実践していて、資産形成のコアとなる部分は安定成長・長期運用で行い、サテライト部分で積極的に利益を狙った運用を行うというものです。

 コア・サテライト戦略は個人の資産運用でも有効です。

 個人の場合、コア資産の例は定期預金、個人向け国債、インデックス型の投資信託、バランス型の投資信託、iDeCo(個人型確定拠出年金)、企業型確定拠出年金、米国国債、NISA、金投資などがあります。

 サテライト資産は、株式投資、アクティブファンド、FX、暗号資産などです。コア資産は7〜9割、サテライト資産は1〜3割が目安です。

 コア・サテライト戦略のルールは、仮にサテライト資産の一つが大きく損をしても、コア資産を削って継ぎ足さないことです。損をしたからといって、安易に継ぎ足していると、さらに損失が広がる可能性がありますし、コア資産が無くなっては、安定的な資産形成が困難だからです。コアの部分で資産を着実に築いているからこそ、積極的に攻めることができるのです。