米アップルはこのほど、欧州でスマートフォン「iPhone」向けアプリを開発する企業が、自社のウェブサイトからアプリ配信できるようにすると明らかにした。欧州連合(EU)で全面適用が始まった「デジタル市場法(DMA)」を順守するためで、アップルが2008年7月に「iPhone 3G」の発売とともにApp Storeを立ち上げて以来、初めての方針転換だ。
アップル、批判受け規約変更
EUのDMAでは、アップルや米グーグル、米アマゾン・ドット・コム、米メタなど巨大プラットフォーマーの市場支配力に制限をかけ、競争阻害行為の抑止を狙っている。アップルに対しては、同社のアプリ配信サービス「App Store」を介すことなく、iPhone向けアプリをダウンロード(サイドローディング)できるようにすることなどを要求している。
これに対し同社はかねて「ハッカーやネット詐欺師がマルウエア(悪意にあるプログラム)をiPhoneにインストールさせることを許してしまう」と述べ、セキュリティとプライバシーへの懸念を表明していた。
しかし、アップルは、24年3月7日にDMAの順守が義務化されるのを前に、サイドローディングを容認した。ただ、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、アップルがこれに伴い設けた様々な制約が厳しすぎるとして一部の開発者が批判している。そこで同社は今回、追加の規約変更を発表した。
欧州の開発者、自社サイトでアプリ配信可能に
まず、欧州では今春後半から、iPhone向けアプリを開発者自らのウェブサイトから直接配信できるようにする。これは、今春リリース予定のソフトウエアアップデートで利用可能になる「ウェブ配信」機能で実現する。