(写真:REX/アフロ)

 米アップルは欧州連合(EU)域内で、スマートフォンやタブレット端末のアプリのように動く「ウェブアプリ」へのアクセスを遮断する方針を決めた。この措置を巡りEUの執行機関である欧州委員会が調査に乗り出したと、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が2月26日に報じた。アップルの商慣行に対する監視強化の一環だという。

ネイティブアプリのように動く「PWA」とは

 欧州委は、このほど開発者に質問書を送り、EU域内におけるアップルの新たな措置の影響について調査を始めた。

 アップルが2024年3月からEU域内のユーザーに対してアクセスを遮断するのは「PWA(プログレッシブ・ウェブ・アプリ)」だ。これは、簡単に言えばウェブページ形式のアプリである。通常のウェブページは、ウエブブラウザー内でコンテンツを表示するが、PWA対応アプリでは、ウェブブラウザーがバックグラウンドで動作し、ブラウザーのウインドウを閉じても動作し続ける。

 その特徴は、ネイティブアプリのような操作性だ。例えば、(1)ネットにつながっていないオフライン環境でも動作する、(2)iPhoneなどのホーム画面にアプリアイコンを追加できる。これに加え、アップルの「App Store」などのアプリストアを使わずに配布でき、アプリストアの審査を受ける必要がないことも特徴となる。

 だが、アップルはPWAについて、ユーザーがセキュリティーとプライバシーのリスクにさらされていると主張している。この状況を放置すれば、24年3月7日にEU域内で順守が義務化されるデジタル市場法(DMA)に違反するとし、PWAの無効化は不可欠だと訴えている。

 一方、PWAが無効になれば、App Storeによる最大30%の手数料徴収を回避しているPWAアプリの開発者にとって、大きな打撃になるとFTは報じている。