2023年分の確定申告が始まっています。期間は2月16日から3月15日まで。会社員・公務員なら勤務先が年末調整をしてくれるので、原則として確定申告する必要はありません。しかし、それはあくまでやる必要がないだけで、やった方が節税につながることもあります。会社員・公務員でも、確定申告をした方がいいケースは意外と多くあります。今回は、損をしないための確定申告について解説します。
(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)
年末調整で完結できる控除とできない控除
所得控除は、本人や家族の状況、災害や病気といった個人の事情によって、税の負担を軽くする制度であり、15種類あります。
所得が少ない人に重い税負担がかからないようにする控除に「基礎控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」があります。
個人の事情を考慮して税負担を軽くする控除に「障害者控除」「寡婦控除」「ひとり親控除」「勤労学生控除」があります。
社会保障や寄附によって税負担を軽減する控除に「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「寄附金控除」があります。
病気や災害などによる税負担を減らす控除に「医療費控除」「雑損控除」があります。
年末調整で完結できる所得控除は次のとおりです。
・勤務先で把握している所得控除
基礎控除、社会保険料控除
・「扶養控除等申告書」の提出が必要
配偶者控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除
・「保険料控除申告書」と「各種控除証明書」の提出が必要
配偶者特別控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除
・「住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅ローンの年末残高証明書」の提出が必要
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
※1年目は年末調整できず確定申告の必要あり
つまり、年末調整で完結できない所得控除は「医療費控除」「寄附金控除」「雑損控除」の3つの所得控除です。これら3つの所得控除を適用したいなら確定申告が必要です。
年末調整後の申告し忘れも確定申告でカバー可能
「年末調整を終えた後に、所得控除が適用できたのにし忘れていた」という経験はないでしょうか。例えば、生命保険に複数加入している場合は、生命保険料控除の申請漏れが起こり得ます。この分の所得控除(生命保険料控除)を反映させて、税金を安くしたいならば、確定申告が必要となります。
申告し忘れの多い4つの控除として、
①配偶者が産休・育休を取得した…配偶者控除・配偶者特別控除
②扶養親族が増えた(父母・祖父母など)…扶養控除
③子供の国民年金保険料を支払った…社会保険料控除
④iDeCoに加入した(している)…小規模企業共済等掛金控除
があります。
どれくらい税金を安くできるのかの金額も合わせて紹介します。