株式市場はもうすぐ大暴落する

澤上篤人・さわかみホールディングス代表取締役(以下敬称略):新しいNISAは、制度はいいがタイミングが悪い。そして、やり方も悪い。

 今、マーケットは異常なカネ余りの最終段階で、株価はいつ弾けてもおかしくない。近々、大暴落しますよ。そんなタイミングで新たなNISAが始まり、マーケットの過熱ぶりにさらに火をつけてしまっています。

澤上 篤人(さわかみ・あつと)
1947年3月28日生まれ 愛知県出身、71年から74年までスイス・キャピタル・インターナショナルにてアナリスト兼ファンドアドバイザー。その後、80年から96年までピクテ・ジャパン代表を務める。96年にさわかみ投資顧問(現 さわかみ投信)を設立し、99年には「さわかみファンド」を設定。日本における長期運用のパイオニアとして熱い支持を集めた。現在は、さわかみグループ総帥として長期投資の啓蒙活動に精を出すと同時に、「カッコ好いお金の使い方」のモデルとなるべく財団活動にも積極的に取り組んでいる。近著に『暴落ドミノ 今すぐ資産はこう守れ!』(明日香出版社)(写真:村田和聡)

 投資は高値づかみをしてはダメというのが大原則です。NISAでも、利益が出ないと非課税のメリットは得られないのだから、大暴落して儲からなかったら意味がない。

 やり方も悪い。政府が「資産所得倍増」だと煽っている中、金融業界は「これは儲かる」と飛びつきました。NISAは彼らにとって、マーケティング上の格好のテーマだからです。これを機に口座をいちはやく、大量に獲得しようと、金融機関は大騒ぎで、それにみんな踊らされてしまっています。

 だから、後で社会問題になりますよ。あの大騒ぎはなんだったのかと。

日経平均株価は年初来、急騰してきたが=2024年2月16日撮影(写真:ロイター/アフロ)

──今、大暴落は間近とおっしゃいましたが、足下では日本株は大きく上昇し、日経平均株価はバブル期の最高値を更新しました。そのような状況で、「こんなタイミングでNISAに踊らされて大丈夫か」という危機感がある?

澤上:大丈夫か?って、ダメに決まっています。確かに、オルカンもS&P500も、長期で持ち続けられればいいですよ。だけど、これから暴落して長期低迷するとしたら、そのときにみなさん、耐えられますか。いま、日経平均は34年ぶりの高値とか言われていますよね? 逆に言えば、元に戻るまでに34年かかったわけです。

中野:政治はマーケットの状況まで考えて新NISAを始めたわけではないですからね。岸田首相にしてみれば、自分が総理の時に始めないと政治的に意味がなくなってしまうから急いだ、という背景もあるのではないでしょうか。

 澤上さんは「暴落」と言いますが、私も大きな調整は近い将来必ず来ると思っています。株価が上がることだけを前提に始めた人は、その調整局面を乗り切れずに損失覚悟で資産を売却してしまうでしょう。そうなると、非課税メリットもへったくれもありません。

──澤上さんが「大暴落する」と断言する根拠はなんですか。