PBR、ROEの改革など上っ面ばかり

澤上:どこから、なにからでも始まる可能性はあります。

中野:中国から始まるかもしれませんね。中国経済はかなりまずい状態だから、中国の方たちが日本株を買って相場を押し上げています。極めて不思議な現象で、その点からも今の日経平均の上昇が長期的なトレンドであるはずがないんです。

中野氏は小手先の経営指標の改善では意味がないと強調する(写真:村田和聡)

──東京証券取引所は、PBR(株価純資産倍率)の改善に取り組む企業のリストを公開するなどしています。コーポレートガバナンスコードの浸透など、企業の資本効率や収益性の向上を期待する声もあります。

澤上:数値の改善そのものを目標にしても意味がないでしょう。自社株買いなど、金融的な手法で株価を上げたり、ROE(自己資本利益率)やPBRを改善したりする手法はいくらでもあります。それらは短期的な視点でしかありません。むしろ、企業が長期的な視点で先行投資をすれば、収益性が悪化してこれらの指標が悪くなることもある。本質が理解されていないと思いますよ。

中野:本来は成長力が高い本当の意味での素敵な会社に変革することで株価を上げるべきでしょうが、とりあえず自社株買いで株価を上げてPBRを改善しても、本質的にその企業が強くなったわけではないですから。

澤上:過剰流動性とゼロ金利の中で、企業経営も相当、甘くなってしまっていますね。今後、過剰流動性が縮小していく中で、インデックスではなく、本当に強い企業を選別して投資をするアクティブ型が見直されてくるはずです。

 その時こそ、私たち独立系の資産運用会社の真価が試される。中野さんは、本当にいいタイミングで新たな資産運用会社を立ち上げることになったと思いますよ。>>後編:日本株「大暴落」の先にある本物の資産運用立国、これからはインデックス型「オルカン」「S&P」よりアクティブ型?