(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年2月1日付)
今年11月の米大統領選挙でのドナルド・トランプの勝利とジョー・バイデンの勝利の違いが米国の未来を決めるかもしれない。
だが、論理的に言って当然、バイデン再選が米国の政治的な病に終止符を打つわけではない。
バイデンの勝利は恐らく僅差になり、トランプからは「盗まれた」選挙と呼ばれ、議会上院で民主党多数が失われる結果を伴うだろう。
さらなる膠着状態と奮闘しながら2期目に入る年老いたバイデンが共和党の熱を下げられると考えるのは、かなり無理がある。
2028年へのカウントダウンが始まる頃、米国が今日の恐怖感を再び経験している確率はそれなりに高い。
米国の有権者が迫られる選択
これが10か月後に米国の有権者が直面する選択肢だ。状況はまだ明々白々だ。
これまでの言動から判断すると、トランプが敵を罰して友人に報いるために、ありとあらゆる大統領権限を使い、新しい権限を見つけることに疑いの余地はない。
自分は1日だけ独裁者になり、米軍の兵士を街頭に配備すると約束する時、トランプが冗談を言っていると考えるのは愚かだ。
トランプの1期目の教訓は、彼を真剣に受け止めなければならないということだ。
2期目に何をやるかについて多くの法的な計画が立てられている。
このため、米国の憲政秩序が報復主義のトランプを生き延びられると考えるのは怠慢だろう。
以上が前提となる基礎だ。
バイデンの勝利は、米国がまた別の日に戦うために生き延びることを意味する。そして、その日に勝てる保証はない。
米国が迫られる選択の二元論的な性質を考えると、人々がトランプ敗北の目がくらむようなカタルシスの先をなかなか見通せないのは無理からぬことだ。