「離婚が今じゃないのだけは確か」

「まだ40歳前だし、これから先長いよね。嫌いになった夫とやっていけそう?」

 この手の話をたくさんしてきたのだろうか。彼女は悩むことなく答えた。

「たぶん無理だろうけど、離婚が今じゃないのだけは確か。その時になったら分かると思う」

 そして続けた。「旦那と違って、私の浮気はバレない。だから自分でその時を決められる」

 確かに彼女ならば、夫婦関係の主導権を握っていけそうだ。僕よりもずっと若いマイさんだが、精神年齢としたたかさは僕よりも遥かに上だった。

筆者の近著『妻が怖くて仕方ない』(ポプラ社)