杭州アジア大会2022でのeスポーツ競技会場(写真:ロイター/アフロ)杭州アジア大会2022でのeスポーツ競技会場(写真:ロイター/アフロ)

(加藤勇樹:中国広東省在住コンサルタント)

 2023年9月23日〜10月8日に中国杭州市で開かれた、第19回アジア競技大会(2022/杭州)の注目点の一つは、eスポーツが正式競技として採用されたことです。

「eスポーツ(electronic sports)」は、コンピュータゲームの対戦をスポーツ競技として捉えるものです。

 この大会で、中国は7種目中4個の金メダルを獲得しました(日本は2種目に出場し、1種目で5位入賞)。中国で盛り上がりを見せるeスポーツの現状をお伝えします。

高額チケットでも売り切れ

 eスポーツは、インドネシアで開催された前回のアジア大会で公開競技に採用され、今大会で初めて正式競技になりました。大会全体の参加41カ国中31カ国がeスポーツの競技に参加しました。

 中国ではかなり関心度が高かったためか、多くの競技の観戦チケットが100元(約2000円)前後であるのに対して、eスポーツは最大1000元(約2万円)という、最高額の競技の一つでした(杭州第19届亚运会票价指南)。

 それでもチケットは売り切れてしまい、最終的には抽選で購入者が決められました。

eスポーツのチケット。決勝戦のA席は1000元と高額だったeスポーツのチケット。決勝戦のA席は1000元と高額だった

 中国では、上海、広州、深圳といった大都市だけでなく、蘇州や成都などの地方都市でも数多くのeスポーツ大会や関連イベントが開催されています。ネット中継が行われるような大規模大会も年間100回以上あります。このような下地があったことが、eスポーツ観戦の人気につながったのでしょう。