(譚 璐美:作家)
電力不足と国内産炭量の減少
ロイター電(2023年9月8日付)によると、9月7日、中国税関総署が公表した8月の同国の石炭輸入量は、前年同月比で53%増の4430万トンに達した。これは少なくとも2015年以来の最高水準だ。
石炭輸入が増加した最大の理由は、電力不足である。
激しい気候変動により、今夏は酷暑が続き、東北部や沿岸部では豪雨に見舞われて作物が大きな被害を受けた。その一方、中国南部の四川省や雲南省などでは降雨量が少なく、水力発電の発電量が減少したことで、石炭火力発電に切り替えられたため、石炭需要が増加した。
また、国内の炭鉱で死亡事故が相次ぎ、一時閉鎖されて生産が滞ったために、7月の石炭生産量が前月比で6.3%落ち込んだこともある。
財新網(2022年3月30日付)によると、2021年には91件の炭鉱事故が発生しており、178人が亡くなった。この数字は、昨年の3月14日、国家鉱山安全監察局の副局長が記者会見で、「2021年の石炭生産量は前年より5.7%増加し、過去最高の41億3000万トンに達した」と自画自賛する一方で、炭鉱事故による被害状況として語ったものだ。