日本中がウキウキ、ブギウギ!
『東京ブギウギ』が大ヒットし、笠置は服部とのコンビで次々とブギウギ物をリリースします。
『博多ブギウギ』『大阪ブギウギ』『名古屋ブギー』などのご当地ものから、黒沢明が映画『酔いどれ天使』(黒沢監督が三船敏郎を初めて登場させた作品)の挿入曲として黒沢自ら作詞した『ジャングル・ブギー』、服部が村雨まさを名義で作詞した『ブギウギ時代』『ブギウギ娘』『買物ブギー』『黒田ブギ』(黒田節をブギ風にアレンジしたもの)まで、当時の流行歌としては曲調もテーマも歌唱法もすべて斬新でした。
笠置の明るい歌声は全国を席巻、昭和23年から日本が独立を勝ち得た同27年までの期間、敗戦直後の日本人をどれだけ活気づけたことでしょう。当時、国民栄誉賞があれば十分受賞に値する、それくらい影響力のある大きな存在だった、と私は思っています。
多くの日本人を元気づけてくれたこの曲ですが、実は服部が個人的に笠置を励ますことをきっかけとして創作されたものでした。
『東京ブギウギ』をレコーディングする4か月前、笠置と起居を共にしていた9歳年下のパートナーが亡くなっていたのです。
(参考)『ブギの女王 笠置シヅ子』(砂古口早苗、現代書館)
(編集協力:春燈社 小西眞由美)