下院議長裁定で米政府機関のシャットダウン回避、でも後遺症重く
共和党崩壊も意に介さない21人のトランプ・カルトが暴走
2023.10.4(水)
高濱 賛
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次なる修羅場は11月14日
米国議会は、10月1日から始まる政府の新たな会計年度の予算をめぐり、当面の予算執行を続けるための45日間の「つなぎ予算」(=clean CR=Continuing Resolution)が成立し、懸念されていた政府機関の閉鎖(シャットダウン)は回避された。
ここまで難航した背景には、野党・共和党内の対立があったからだ。
ドナルド・トランプ前大統領を支持する下院議員21人が民主党とのいかなる妥協にも反対、結局、ケビン・マッカーシー下院議長*1は、ウクライナ追加支援とメキシコとの国境管理の強化のための予算をあえて外し、代わりにバイデン政権が求めていた災害復旧支援の強化のための予算を盛り込む形で、「つなぎ予算」の修正案をまとめた。
シャットダウン期限が切れる数時間前に賛成335、反対91、無投票7で可決成立した。
共和党は賛成126、反対90と割れた。
上院は賛成88、反対9で可決・成立した。
だが、これに収まらないトランプ派議員のグループリーダー、マット・ゲイツ議員(フロリダ州選出)は10月2日、マッカーシー下院議長の解任動議を提出した。
10月3日、マッカーシー議長の解任動議を与野党の賛成多数で可決した。下院議長の解任動議が可決するのは米国で初めて。
与党・民主党の議員に加え、政府閉鎖を回避したつなぎ予算を巡る対応を問題視した共和党の保守強硬派らが賛成に回ったためだ。
ゲイツ氏は9月29日、CNNとのインタビューでこう述べた。
「マッカーシー氏はウクライナ追加支援で民主党と秘密の取引を交わし、ジョー・バイデン大統領と我々保守派にウソをついている」
「信頼に足る新たな指導部の下で前に進む必要がある。(下院で)共通するのは、誰もがマッカーシー氏を信用していないことだ。今週中(9月29日から始まる週)に解任動議を提出するつもりだ」
(reddit/gaetz_says_he_will_force_vote_to_oust_mccarthy)
これに対してマッカーシー氏はこう吐き捨てるように言っている。
「やれるものならやってみろ。私は生き残る。この部屋(下院のこと)には大人が必要だ。私はこの部屋を立派に管理する。それが国家にとってベストだからだ」
ウクライナ追加支援予算についても、別途予算案を提出し可決成立させることを仄めかしている。
ゲイツ氏は、2023年1月の下院議長を決める指名投票ではマッカーシー氏に最後まで反対した。
最終的には、各委員長人事やバイデン大統領弾劾審議など党内極右の主張をのむことを条件に指名に賛成した経緯がある。