(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)
窮地に陥った李在明氏
韓国・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が追い詰められている。
李在明氏は、北朝鮮への不正送金疑惑をめぐり9月7日、検察に出頭するように求められた。1回目の取り調べは、後述するが「断食」により李氏の体調がすぐれないということを理由に8時間で打ち切られたが、近々2回目が行われる見込みである。李氏はすでに京畿道の都市開発事業などでも検察の捜査を受けており、検察に出頭するのは今回が5回目である。
李在明氏が検察に逮捕される可能性は高まっていると言えるが、むしろ政府・与党側からは「李在明氏が民主党の代表に留まっている方が、民主党への支持が伸びなくて好都合」といった声が漏れてくるほど、李在明氏は党勢回復に苦労しており、支持層拡大にも失敗している。
また後述するように、最近になって2022年の大統領選挙時に民主党が偽情報を流し、選挙戦を有利に進めようとした疑惑が持ち上がっている。李在明氏はこれを利用しようとしたとも指摘されている。
李在明氏は、尹錫悦大統領に関して「国民の意思に、国利民福に反する行為をすれば引き下ろさなければいけない」と主張し、大統領退陣論を煽る発言までしたが、それは自らが苦しい立場に陥ったからこそ出たせめてもの攻撃の言葉だろう。