謎が数珠つなぎになっている。これが視聴者を釘付けにしている一番の理由にほかならない。主人公の半沢直樹(堺雅人)に次々と試練を与えることで、観る側を引き付け続けた同局『半沢直樹』(2013年、2020年)と通じる。2つのドラマの演出と原作は同じ福澤克雄氏(59)。視聴者を楽しませるコツが分かっているのだろう。スマホをやりながらでも観られてしまうような中身の薄いドラマとは違う。

『VIVANT』はTVerなどの無料配信の再生回数も多い。14日に1~5話の合計が2000万回を突破した(TVerとTBS FREE)。同局のドラマでは史上最速記録だという。本当に面白いドラマは視聴率も総合視聴率も高く、さらにTVerの再生回数も多いのである。

 低視聴率ながらTVerの再生回数は多いと盛んにPRするドラマがある。しかし、それは人気ドラマと呼べないはずだ。テレビ局はあくまで放送事業者なのだから。本当に面白いドラマなら、『VIVANT』のように視聴率もTVerも好成績を収める。「TVerなら観られている」という言葉が最近のドラマ界の逃げ口上になってしまい、競争心や向上心を削いでしまっている気がしてならない。そもそもTVerの認知率は68.5%に過ぎない(今年1月、15~65歳、マクロミル調べ)。各局の収入もCMの30~50分の1程度なのだ。

Netflixなどと同等の制作費を投入

『VIVANT』は各局の制作費の考え方にも影響を与えそう。通常、プライム帯の1時間ドラマの制作費は3000万円程度。一方、Netflixなど有料配信動画サービスは同じ1時間動画で1億円程度である。これでは勝負にならない。ドラマもほかの商品と同じく、制作費と質はほぼ比例する。出演陣のギャラ、脚本費、美術費などが違ったら、仕上がりに差が付かないはずがない。

『日曜劇場』の制作費は4000万円とされている。民放ドラマの中で一番高い。高視聴率ドラマが多く、安定的に優良スポンサーが付いているからだ。『VIVANT』はさらに高く、TBS関係者への取材によると、約1億円である。同局と業務提携している有料動画配信のU-NEXTなどのコンテンツにもなるからだという。