1話も見逃せない展開
テレ朝の2つのドラマの個人全体が伸び悩んでいるのは若者があまり観ていないから。『科捜研の女』のT層は0.9%、F1層は0.6%しかない。『ハヤブサ消防団』もT層が1.2%でF1層が2.0%と低い。2つのドラマはテンポと刺激が一定の範囲内に抑えられており、落ち着いた作風で中高年以上には観やすいのだが、それが若者には物足りないようだ。
『VIVANT』は正反対。テンポの速さは米映画『アンビュランス』(2022年)などのノンストップムービーに近い。物語がスピーディーに進み、1話見逃すと、着いていけないくらい。
刺激も十分過ぎるほどある。1話から主人公の商社マン・乃木憂助(堺雅人)は大きな災難に遭う。誤送金の回収に出向いた中央アジアのバルカ共和国で、国際テロ組織 テントの一員による自爆テロに巻き込まれ、危うく命を落としそうになった。テロリストは自爆する前、憂助に向かって「おまえがVIVANT(ヴィヴァン)なのか?」と問うたが、その意味は謎であり、観る側の好奇心や探究心を掻き立てた。
2話でヴィヴァンが別班のことであり、諜報活動を行なう自衛隊の非公然組織であることが分かる。警視庁公安部刑事.野崎守(阿部寛)が読み解いた。もっとも、それが誰であるのかは相変わらず分からない。観る側の好奇心などが刺激され続けた。
3話では帰国した憂助と野崎によって、謎に包まれた誤送金の真相究明が始まる。4話では憂助が別班であることがやっと判明したが、なぜ別班入りしたのかは謎だった。5話ではテントのリーダーがノゴーン・ベキこと乃木卓(役所広司)で、憂助の父親と分かったものの、どうしてテロリストになったのかという謎が残された。6話では憂助らがテントの秘密文書の中身を知る。どうやら驚愕の内容らしいが、視聴者側には分からないまま終わった。