ミャンマーの仏教施設・シュエズィーゴン・パゴダ。*本文と直越の関係はありません(写真:アフロ)

 タイとの国境に近いミャンマー国内にある複数の娯楽施設やホテルなどを拠点に、インターネットや電話を利用したいわゆるオンライン詐欺が横行していることがミャンマーの独立系メディアの報道で明らかになった。

 こうした拠点ではパスポートや携帯電話を取り上げられたフィリピン人などの外国人が強制的に働かされており、暴力、脅迫を伴いながら、人身売買や臓器移植、麻薬、売春などの犯罪の温床となっているという。

 拠点の多くは中国資本であるといわれ、現場では中国人が仕切っているという。ただ、そこにミャンマー軍政も間接的に加担しているとみられていることから、取り締まりや摘発はほとんど行われていないのが実状だ。

 こうした野放しの状態に対して人権団体などが国際社会に問題提起と早急な対応策を訴えている。

タイ国境複数の拠点でサイバー犯罪

 1993年にタイに亡命しているミャンマー人ジャーナリストのグループによって組織された独立系メディア「イラワジ」は8月14日、「ミャンマーにある中国運営のサイバー詐欺拠点で拷問やテロ」との見出しで、ミャンマー東部タイとの国境沿いの複数の地点にある中国資本、中国人経営の複合娯楽施設やカジノ、宿泊施設などでの過酷なサイバー犯罪、オンライン詐欺の実態を報じた。

 報道によると、東部シャン州北部の町シュエコックや、さらに南に位置するファミリーパーク、KK1パーク、KK2パーク、ゲート25、シンフア、トンメイなどの国境を流れるモエイ川沿いに点在する中国資本の施設ではインターネットや電話を使って投資を持ちかけて被害者に送金させるというオンライン詐欺の拠点となっているという。

 このうちトンメイにある拠点は1999年に違法賭博で有罪判決を受け14年の実刑判決を受けたマカオのウォン・コック・コイが所有しているといい、背後に中国本土、香港、マカオなどの犯罪組織や犯罪者の関与が囁かれている。