どの法律も運用の段階での事実認定や因果関係の証明や権限の問題で機能不全に陥っているのだ。しかもいじめの場合、なにかというとバカの一つ覚えの「第三者委員会」の設置が出てくるが、これが信頼できるかどうかはまるで不明だ。
いじめの場合、最も深刻な「重大事態いじめ」という段階がある。しかし、そこに行く前に、被害者がいじめられていると訴え出ること事態のハードルがそもそも高い。「それ証拠あんのか?」と難癖をつけられるらしいのだ。
ようするに本音をいえば、教師も学校も教育委員会も自治体も「いじめ」を問題化させたくないのである。それぞれに保身意識もある。教師や学校に対する罰則がないことも、いじめへの取り組みが甘くなってしまう原因になっている。
「プロバイダ責任制限法」が改正されたものの
SNSでの誹謗中傷も後を絶たない。これにも法律ができていて、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(通称「プロバイダ責任制限法」)という。
今月の12日、ryuchellさんが自殺した。
経済学者の成田悠輔氏はもっと実際的に「今はネットで発信することがタダで簡単すぎるじゃないですか。1発信10円とか課金するだけで結構状況変わる可能性あると思う」とコメントしている。
この程度の課金がどれほど効果があるのかわからない。ただ一部の馬鹿者たちのために、利用者全員に一律に金銭的負担を強いるのはまったく好ましくない。日本の場合なにかあると、羹に懲りて膾を吹きすぎるのだ。
それよりも匿名発信者たちが恐れるのは、自分の身元が判明することと社会的制裁や処罰であろう。
2022年10月の「プロバイダ責任制限法」の改正で、従来の「発信者情報開示請求」のほかに、「発信者情報開示命令」の制度が新たに施行された。それにより投稿者の情報開示請求が簡素化され、開示請求できる対象範囲も拡大された。
それでも発信者情報開示命令に要する期間は、「3~4カ月程度」かかるというのである。警察の民事介入によって、発信者のもっと迅速な情報開示や懲罰決定の簡素化ができないものか。
因果関係の認定がむずかしいなどのことはあるのだろう。しかし一度でも誹謗中傷メールを出したことがある者はアウトにしていい。かまうこともないから厳罰も課す。加害者の表現の自由などの言い逃れを許さない。