なんの物音もしない日の出前、屋根の上から通りをじっと見つめる犬がいました。

 犬の視線の先には、疾走する猫が。急ぎの用事でもあるのでしょうか。

 城壁で囲まれた旧市街に入ってすぐのところにいた大きな犬は、お年寄りとすぐにわかる貫禄でした。すれ違った人が、「もう15歳なんだけど、若い頃はこの町のガードドッグだったんだよ。足腰が弱ってしまっても、毎日、ここから町を見守っている」と教えてくれました。