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2022年12月5日にクリミア大橋を視察したプーチン大統領。AIは本人との一致率を53%と判定した(写真:代表撮影/AP/アフロ)

(文:名越健郎)

前線視察など戦意高揚に「顔」を出す必要性が高まる中で、かねて囁かれるプーチンの影武者説が改めてクローズアップされている。昨年7月に画像・映像修正技術も駆使して替え玉使用が決定したと、謎のブロガー「SVR将軍」は指摘。同年12月のクリミア大橋復旧を視察したプーチンの映像には多くの違和感が伝えられ、ロシア国内でも疑惑が膨らむきっかけとなった。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が自らの安全を確保するため、「影武者」を使っているとの憶測がロシア内外で広がっている。健康不安がささやかれる大統領が、あちこち出没するのは不自然で、表情や動作も微妙に異なるという疑惑だ。

 ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は4月24日、「大統領が塹壕に閉じこもっているという噂は嘘であり、替え玉の噂も嘘だ。大統領の健康とエネルギーはうらやましいほどだ」と影武者説を全面否定した。

 とはいえ、影武者説はロシアの独立系メディアやSNSでも広範に報じられている。その実態を探った。

昨年7月に影武者利用を決定か

 影武者説は、プーチン氏が昨年12月5日、ロシア本土とクリミアを結ぶクリミア大橋を訪れた頃から流れ始めた。プーチン氏は10月に爆破された橋の復旧工事完了を視察。マラト・フスヌリン副首相を隣に乗せ、メルセデス・ベンツを自ら運転し、後部座席で撮影した動画が大統領府HPで公開された。

 反プーチンの女性ジャーナリスト、ユリア・ラティニナ氏は反政府系メディア「ノバヤ・ガゼータ」(4月23日)で、「替え玉が出張に登場した最初の本格的ケースだ。臆病なプーチンは閣僚を遠ざけて座らせるが、勇敢なプーチンは市民と無作為に握手する。われわれは二人の異なるプーチンを見ている」と指摘した。

 クレムリンの内部情報に詳しい謎のブロガー、「SVR(対外情報庁)将軍」は、SNS「テレグラム」で、「プーチンの健康悪化を受けて、大統領の参加が必要なイベントでは、必要に応じて替え玉を使い、画像・映像修正技術を駆使することが2022年7月に決まった」「クリミア橋を運転したのは、大統領の影武者だ。プーチンはこのようなイベントに参加できないほど臆病なのだ」と指摘した。

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