ハンター氏が父親のバイデン氏がオバマ政権の副大統領だった時代に、その権威を利用して中国とウクライナの腐敗企業から巨額の資金を不当に得たという疑惑がつきまとうのだ。

 現実にこの疑惑は、ハンター事件として検察当局が刑事捜査を進めていることが確認されている。そのうえにこの不正疑惑にはバイデン氏自身が関わっていたという指摘もある。

 だからバイデン大統領は再選への道では一種の爆弾を抱えているのだ。共和党は昨年(2022年)11月の中間選挙で逆転を果たして多数派の地位を勝ちとった連邦議会下院を中心に、このハンター事件の調査を開始し、すでにバイデン一家にからむ不正を疑わせる、中国がらみの謎の資金の流れを明らかにし、追及の構えをみせている。

 このハンター事件には実は民主党側のカバーアップ(隠蔽)工作があったことが今では確認されている。前回の大統領選の投票が1カ月ほど後に迫った2020年10月、ハンター・バイデン氏がずっと使っていて修理に出したパソコンがバイデン一家の住むデラウェア州の修理店で発見され、そのなかに不正を思わせるメールの交信記録が多数みつかったのだ。

 この事実を民主党寄りではない新聞のニューヨーク・ポストが報道した。ところが民主党のバイデン陣営はこのパソコンの登場自体がロシア側の偽情報工作だと言明した。民主党支持のニューヨーク・タイムズなど大手メディアも同様の趣旨を報じた。当時、民主党側にべったりだったツイッターはニューヨーク・ポストの報道自体を転送禁止とした。

 ところがその後、このパソコンは間違いなくハンター氏が数年にわたり使用したもので、しかも内部には中国やウクライナの腐敗企業とのやりとりを示すメッセージが数千件もあったことが確認された。ロシアの偽装工作ではないことが判明したのだ。