父親のジョー・バイデン米大統領とともにエアフォース・ワンを降りハンコックフィールド空軍州兵基地に到着したハンター・バイデン氏(2023年2月4日、写真:ロイター/アフロ)

(古森 義久:日本戦略研究フォーラム顧問、産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 アメリカのジョセフ・バイデン大統領が4月25日、ついに2024年の大統領選挙への出馬を正式に宣言した。いま80歳のバイデン氏の再出馬に対しては民主党内でも反対は多い。しかも副大統領候補としてバイデン氏とともに再出馬するカマラ・ハリス現副大統領の人気もきわめて低い。

 だがバイデン氏には多々のハンデにもかかわらず、民主党内の他の候補を圧するだけの実績が少なくとも一つある。それは前回の2020年の大統領選で共和党のドナルド・トランプ候補と闘い、勝利をおさめたことである。

 共和党側ではいまトランプ氏が最大の支持率を誇っている。民主党側の検察官による刑事訴追など攻撃また攻撃をかけられながらも、なおトランプ氏は対抗相手とみなされるフロリダ州知事のロン・デサンティス氏や、すでに立候補を正式に表明した元国連大使のニッキー・ヘイリー氏らに各種世論調査では大差をつけて、共和党支持層では人気首位、つまり選挙戦では第1位の先頭走者である。

 そのトランプ氏をバイデン氏は2020年の選挙戦では1対1の対決で破ったのだ。民主党内の反バイデン層でもこの記録は認めざるをえない。だからバイデン氏にとっては共和党側の対抗馬はトランプ氏でなければならないのだ。バイデン氏の価値はトランプ氏あってこそ、いやトランプ氏立候補に対してのみ、発揮されるとさえいえるだろう。

民主党の隠蔽工作があった「ハンター事件」

 だが日本の主要メディアがほとんど報じないバイデン氏の弱点が実は存在する。それはバイデン氏の次男のハンター・バイデン氏にかかる不正疑惑である。