(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)
フランスは防衛費予算を大幅に増額する。エマニュエル・マクロン政権は4月4日、2024年から7年間の防衛費予算(合計)を先の予算から約1000億ユーロ(約14兆円)増額し、4130億ユーロ(約60兆円)にすると閣議決定した。2030年の防衛費は690億ユーロと、現予算が始まった2017年(320億ユーロ)から倍以上膨らむことになる(図表1)。
その結果、名目GDP(国内総生産)に占める防衛費の規模は2030年時点で3%台半ばまで膨らむ見通しだ。
【図表1 フランスの防衛予算】
北大西洋条約機構(NATO)各国は2014年、2024年までに加盟国の防衛費を名目GDPの2%の規模まで引き上げることで合意に達したが、フランスの防衛費は2000年代から名目GDPの2%程度で推移していた。防衛費がGDPの3%半ばとなるのは、冷戦の真っ只中の1970年代半ば以来のことだ(図表2)。
【図表2 軍事費の長期的な推移】