写真はイメージです(出所:写真AC)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 3月に入り、日本全国で卒業式が行われた。卒業式をめぐる“マスク騒動”を皆さんはどう思われただろうか。私は日本が一層凝り固まった社会になってしまっているのではないかと、危惧している。

 文部科学省が2月に通知した「(卒業式では)児童・生徒と教職員は『マスクを外すことを基本とする』」という方針を受け、いくつかの高校で卒業式を「基本マスクなし」で挙行したという。

“基本マスクをする”というのならまだわからなくもない。なぜなら各家庭でそれぞれの事情がある。なかには、命にかかわる病気を抱えたお年寄りと同居している生徒もいるだろう。そんな生徒は、新型コロナの感染はなるべく避けたいに決まっている。

 だが、「基本マスクなし」というのは、どうしても感染リスクを高めることになる。しかもそれを文科省が指示するのだ。

困惑する卒業生たち

 この「基本マスクなし」という通知に、私はとても違和感を覚えた。そんな通知は韓国では聞いたことがない。あるいは去年の夏とこの冬に訪ねたヨーロッパでも、「マスクなし」というお達しなど聞いたこともない。恐らくアメリカもそうだろう。