ベトナム戦争で米国が受けた衝撃は大きかった

 昨年後半あたりからVUCAという文字をにわかに目にする機会が増えました。VUCAとは、4つの単語の頭文字をとったものです。

Volatility(変動性)

Uncertainty(不確実性)

Complexity(複雑性)

Ambiguity(曖昧さ)

 この4つだというのですが、日本語でこれに関して「あいまい」でない解説を未だ見たことがありません。

 そもそもVUCAは元来米国の軍事用語です。

 コンピューターや数式と関連付けて、初めてまともな意味を持ちます。それをいいかげんな日本語で文章を弄しても、本来の意味が通じることはないでしょう。

 以下では私が2007年、NHK-BS番組「地球特派員」で米国グリーンベレーの総本山フォート・ブラッグに体験入隊した際に理解したVUCAの実像を解説します。

 同時に「BAKA教育」としか言いようのない日本の現状ではグローバルなVUCA対策にかすりもしない残念な現実を合わせて記したいと思います。

コロナ・ウクライナ・米中対立

 2022年の中頃からにわかにVUCAつまり「不確実性の時代」を言うようになったのか?

 直接の原因はウクライナ戦争の長期化で、見通しが立たなくなったことでしょう。

 これに先立つコロナ禍との波状攻撃で先行きが見通せない状況に加え、微妙な米中関係などを念頭に、米軍の古典的なVUCAがリバイバルしてきたというものだと思います。

 実際、私がVUCAを初めて耳にしたのは2007年、米国ノースカロライナ州でのことでした。

「どうやら黒人の上院議員が大統領候補になるかもしれない(バラク・オバマ氏のことです)」などといった話とともに、戦略情報科学の言葉として教えてもらったのです。