客が具材を選んで自分で煮込むセルフ式火鍋屋の料理(上海で筆者撮影)

(花園 祐:中国・上海在住ジャーナリスト)

 日本国内で中華料理と言えば、最初に思いつくのはラーメンやチャーハン、餃子といったお馴染みのメニューのほか、北京ダック、小籠包などなのではないかと思います。

 もちろんこれらは中華料理を代表するメニューですが、現代中国において最も人気があるのは別の食べ物です。それは、火鍋(ひなべ)です。

 日本国内で火鍋は中華料理としてあまり一般的ではありません。ところが中国にでは、現在、圧倒的な人気メニューとなっています。火鍋を提供する外食チェーンも拡大を続け、火鍋人気から派生する形で、すき焼きなどの日本の鍋料理にも高い関心が寄せられています。

 そこで今回は、中国における火鍋市場の現状を取り上げつつ、中国人はなぜ火鍋が好きなのかという理由と背景を紹介したいと思います。

あらゆる鍋料理を「火鍋」と総称

 まず、中国の火鍋がどんな料理であるかを簡単に説明しましょう。